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救急医療における血管内治療

近年、体に負担の少ない低侵襲治療の進歩はめざましく、カテーテルを用いた血管内治療(interventional radiology; IVR)は代表的な低侵襲治療のひとつです。特に、救急領域においては、患者さんの全身状態が不良であることも多く、低侵襲であるIVRの果たす役割は少なくありません。なかでも、多発外傷に代表される重症外傷診療においては、今や欠かすことのできない治療となっています。
救急医療に求められる安全かつ迅速な医療を実践するためには、救急疾患の特殊性を理解したうえでIVRを施行する、いわゆる“救急IVR医”の存在が不可欠です。特に重症外傷診療においては、外傷治療に精通していなければ、質の高い外傷IVRは成し得ません。しかし、救急医療現場での深刻な医師不足はIVR領域においても例外ではなく、緊急時に即時対応可能な放射線科IVR医が不足している現状を考慮すると、質の高い救命救急医療を常時提供していくためにも、救急IVR医の養成は急務と考えます。

当部門の特徴

救急IVRはチーム医療との信念のもと、日本IVR学会専門医を中心として、IVR研修プログラムに参加する救急医、救急放射線に精通した放射線技師や看護師とともにIVRチームを形成し、外傷を中心として24時間体制でIVRに取り組んでいます。特に、重症外傷に対しては、積極的にIVRを早期介入させ、外科手術と組み合わせた新しい“ハイブリッド治療”により、予後の改善を目指しています。また、外傷以外では、消化管出血や喀血など、疾病救急にも幅広く対応しています。
もう一つの特徴として、産科救急IVRにも力を入れています。りんくう総合医療センター産婦人科は泉州広域母子医療センターの周産期センターとして位置づけられており、産科救急に対してセンターを上げて取り組んでいます。当部門では、産科チームと連携し、積極的に産科IVRを施行しています。止血術のみならず、前置胎盤など大量出血が危惧される場合には、産科チームと一緒に手術に臨み、IVRと手術を併用する“ハイブリッド治療”を展開して良好な成績を収めています。
さらに、心臓血管外科チームとも連携を図り、血管救急IVRに取り組んでいます。例えば、外傷性胸部大動脈損傷や胸部・腹部大動脈瘤破裂など、従来の手術治療では救命困難とされる重症例に対して、“ハイブリッド治療”であるステントグラフト留置術を積極的に行っています。
その他、腎臓内科チームとも連携し、透析シャント不全に対する血管形成術(PTA)にも携わっています。このように、りんくう総合医療センターの各科と連携を図りながら、血管内治療を通じて地域の救急医療への貢献を目指しています。

血管内治療外来

当部門の特徴のひとつとして、専門外来を併設していることが挙げられます。りんくう総合医療センターにおいて、週1回(水曜日午前)血管内治療外来を行っています。IVRは施行して終わりではありません。当部門で担当した患者さまは、地域の医療機関と連携を図りながら、責任をもって外来において経過を観察しています。
また、救急領域以外の血管内治療にも幅広く対応することにより、救急IVRの質が向上するという信念のもと、血管内治療外来として広く門戸を開いています。

スタッフ

血管内治療部長 井戸口孝二